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戦後復興歩み 分析発表 広島県・市の連携事業 執筆者8人解説

 被爆地広島の戦後の復興過程を研究した、広島県と広島市の連携事業の成果発表会が11日、広島市中区の県情報プラザであった。3月にまとめた報告書の執筆者8人が、戦後の都市計画や平和行政の歩みなどについて解説。約150人が聞き入った。

 広島大地域経済システム研究センターの伊藤敏安センター長は、1940年に10万40人だった県内の製造業従業者が、戦後の46年に9万482人に落ち込んだものの、48年には11万3581人に増えたことを紹介。東洋工業(現マツダ)や三菱重工業が焼失を免れたこと、軍事施設の民間移譲が進んだ点を踏まえ「他都市と比べ、下支えの要因があった」と指摘した。

 戦後の医療や平和教育、被爆証言の分析についても報告があった。編集委員長を務めた広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長は「韓国・朝鮮人コミュニティーの復興など手つかずの問題もあり、さらなる研究が必要だ」と総括した。

 報告書「広島の復興経験を生かすために 廃墟(はいきょ)からの再生」は、紛争地などの再興に役立ててもらおうと、広島大や市立大、原爆資料館などの有識者が2012~13年度の研究成果をまとめ、800部印刷した。内容は広島県のホームページで読むことができる。(明知隼二)

(2014年10月12日朝刊掲載)

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