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改正援護法が成立  在外被爆者  手帳取得に来日不要

■記者 道面雅量

 海外在住の被爆者(在外被爆者)が来日しなくても被爆者健康手帳が取れるようにする改正被爆者援護法が11日、参院本会議で可決、成立した。来週にも公布され、公布から半年以内に施行される。

 手帳取得の「来日要件」を撤廃、在外被爆者が被爆時に住んでいた広島、長崎の両県知事、市長に海外から申請でき、海外で交付も受けられる。現在は年間14万5000円が上限になっている在外被爆者への医療費助成や、海外での申請が認められていない原爆症認定についても、国内の被爆者の実情を踏まえ、国に必要な措置を講ずるよう付則で定めた。

 手帳を取るには申請を受けた自治体の職員との面談も必要で、在外公館での面談の方法など、実際の細かい手続きを、厚生労働省は施行までに調整する。

 在外被爆者をめぐっては、広島市の旧三菱重工業に強制連行され、被爆した韓国人元徴用工たちが国などを相手取った訴訟で、最高裁が昨年11月、在外被爆者を援護の対象外とした旧厚生省通達を違法とし、国に賠償を命じる判決を確定させた。同法が在外被爆者への対応を明記するのは1995年の施行以来初めて。

 前の臨時国会から与党と民主党がそれぞれの法案の一本化に乗り出し、5月28日に合意。6月5日に衆院を通過し、議員立法で成立にこぎ着けた。

(2008年6月12日朝刊掲載)

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