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上関町が風力発電検討 原発計画中断続く 収入と観光期待 山口

 山口県上関町が大型の風力発電機2基を町内に建設する検討を始めたことが19日、分かった。中国電力上関原発計画の中断で国からの原発財源が激減する中、売電での収入増と観光振興が目的とみられる。

 関係者によると、候補地は同町長島の上盛山(315メートル)。上関原発の建設予定地の北東約7キロに位置する。町が事業主体となり、高さ数十メートル級の風力発電機2基を設置するという。出力や詳細な規模、建設時期は未定。採算性や地元理解を見極め、事業化を慎重に判断するとみられる。

 発電した電気は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で売電する。町は大型の風力発電機を、環境に優しい地域のシンボルとして観光面での効果も期待しているという。

 風力を活用するまちづくりについて、町は最重視する原発誘致からの方針転換との見方をされないため、「上関原発を諦めたわけではない」と関係先に説明しているという。

 上関町は1982年、当時の町長が町議会で原発誘致を表明。原発関連交付金などの財政的な恩恵を受け、施設整備や福祉施策を進めてきた。だが、中電は2011年3月の福島第1原発事故後に上関原発の準備工事を中断。政府がことし4月に閣議決定したエネルギー基本計画にも、新増設は明記されなかった。

 12年度に約13億円あった原発関連交付金は14年度、2年連続で1億円を下回る見通し。厳しい町財政が続くと予想される。こうした中、柏原重海町長は9月、「自立できるための新たな振興策が必要」と、原発財源に頼らないまちづくりの一環で観光を強化する考えを示していた。

 町は「現時点で何も答えられない」としている。(井上龍太郎)

(2014年10月20日朝刊掲載)

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