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米国人が華麗に谷住郷神楽 江津市桜江の秋祭り前夜祭 音楽家フォックスさん演舞 

大叔父の日記で日本に関心「懸け橋になりたい」

 島根県江津市桜江町谷住郷の見水山八幡宮で18日にあった秋祭り前夜祭で、夜神楽の演舞に米ニューヨーク在住のドラマーで作曲も手掛ける音楽家ビリー・フォックスさん(49)が参加した。2003年、沖縄戦に参加した大叔父の戦中日記を読み日本に関心を持ったのがきっかけ。「音楽で日米の懸け橋になる」と誓う。(松本輝)

 フォックスさんは1999年からニューヨークで音楽活動を始め、多くの日本人音楽家と知り合った。「日本人は音楽を奏でる仲間だった」と話す。

 02年、海軍の軍人として沖縄戦に参加した大叔父のジャック・ヒューバートさんが76歳で亡くなった。死後、初めて手にしたヒューバートさんの日記には、日本人を敵視する暴力的な記述ばかりだったという。「ショックだった。時代が違うと、こんなにも日本への印象が違うなんて」

 「もっと日本を知る必要がある」と03年4月に初来日。2週間の滞在で日本の歴史を学び、帰国後の05年にニューヨークで日本人と音楽グループ「狐(きつね)アンサンブル」を結成した。「より敬意を持って日本人に接することができるようになった」という。

 フォックスさんが初めて神楽に接したのは08年。谷住郷地区に住む友人、英語教諭ジェイク・デイビスさん(60)のブログで見た華麗な衣装や舞に感動。デイビスさんを通じて谷住郷神楽社中の右田哲也団長(39)と知り合い、12年の秋祭りで初めて神楽を舞った。以降毎年、同地区の祭りに参加している。

 18日の夜神楽では「潮払い」を舞い大きな拍手を受けた。「神楽の音調を取り入れた曲を作りたい。いつか沖縄でも私の音楽を披露したい」。フォックスさんは意気込む。

(2014年10月20日朝刊掲載)

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