×

ニュース

原発両派、一定の評価 山口県上関町の風力発電構想 住民の理解が鍵 山口

 山口県上関町が検討を始めた風力発電機の建設構想について町内では20日、中国電力上関原発計画の推進、反対両派の住民とも自然エネルギーによるまちづくり構想に一定の評価を示した。風力発電機は周辺住民への騒音問題などを招く恐れもあり、町は採算性なども含めて慎重に事業化を探るとみられる。(井上龍太郎)

 関係者によると、建設候補地は同町長島の上盛山(315メートル)で、風力発電機2基の設置を検討。発電した電気は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用して売電する見込みだ。観光振興の狙いもあるという。

 上関原発の準備工事の中断が長期化し、国からの原発財源が激減する中での構想。原発推進派の上関町商工事業協同組合の柏田真一代表理事(39)は「一定の収入が町に入り、設置工事の費用が地元で動く。悪くない構想」とみる。一方で「町が原発誘致を断念したとみられないかの不安はある」と漏らす。

 反対派の上関の自然を守る会の高島美登里代表(62)は「自然エネルギーを活用する方向性は評価できる」とした。「環境に負荷をかけず、野鳥の渡りルートも妨げない必要がある」とし、事業を静観する構えを強調した。

 上盛山の北約9キロの大星山(平生町、438メートル)では風力発電機7基が稼働している。上盛山も風の条件は似ているとみられる。

 一方、大型の風力発電機は周辺に騒音や低周波音をもたらす恐れが指摘されている。下関市安岡沖の洋上風力発電計画では、住民が反対運動を展開している。上関町の検討でも住民の理解が大きな要素となりそうだ。

(2014年10月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ