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山口県と上関町が訓練 伊方原発の震災事故想定 放射性物質有無を測定

 山口県と同県上関町は21日、地震により四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)から放射性物質が放出されたとの想定で、原子力防災訓練をした。上関町の離島八島の一部が同原発の半径30キロ圏内に含まれるため、愛媛県の訓練に合わせて実施。山口県は上関町の中央公民館に救護所を設置し、放射性物質の付着の有無を調べるスクリーニングの訓練を初めて実施した。

 訓練は地震で伊方原発3号機の電源が喪失し、原子炉格納容器が破損して放射性物質が外部に漏れたと想定。山口県は職員5人を現地災害対策本部の愛媛県オフサイトセンターなどに派遣した。

 中央公民館でのスクリーニングは、山口県の診療放射線技師や保健師たち12人が検査を担当。防護服姿で、住民役の県職員20人の身体に測定器をかざして除染の必要性を判断した。医師による問診もあった。

 八島の住民は、自宅への屋内退避訓練をした。上関町が島内放送で退避を呼び掛けた。伊方原発事故発生時、島民は北約12キロの中央公民館に定期船か漁船で避難する。住民は9月末現在で36人、高齢化率は94%に上る。

 県は救護所の運営手順などを盛り込む緊急被曝(ひばく)医療マニュアルを本年度内にまとめる考えで、矢敷健治危機管理監は「課題を確認し、今後の防災対策に生かしたい」と話した。

 愛媛県の訓練には山口、広島を含む計7県が参加した。広島県には愛媛県が電話で情報提供した。(井上龍太郎、門戸隆彦)

(2014年10月22日朝刊掲載)

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