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永井博士の桜 故郷で育て 顕彰会 雲南市に苗木贈る

■記者 川上裕

 長崎市で被爆し、病床で平和を訴え続けた永井隆博士(1908~51年)を顕彰するNPO法人「長崎如己(にょこ)の会」(長崎市)は20日、焼け野原に博士が植えた桜から苗木を育て、幼少期を過ごした雲南市に贈った。

 博士の母校の市立飯石小で植樹式があり、全校児童34人と同会の11人、「三刀屋如己の会」など地域住民約40人が参加。ソメイヨシノ3本の根に児童たちが順番で土をかけた。

 同市三刀屋町で育った永井博士は1945年8月9日、爆心地から約0.7キロで被爆。3年後、再び長崎を花咲く街にするため、寄稿文の賞金などで1200本の桜を購入して植えた。

 「永井千本桜」と呼ばれて市民に親しまれてきたが、現在は老化などで約20本だけ残る。同会は挿し木で約200本まで増やし、長崎市以外に初めて30本を提供した。苗木は雲南市内の小中28校に配られる。

 6年の小林昂貴(こうき)君(12)は「苗木を育てることで博士の平和への願いを受け継ぎたい」と力強く宣言。博士の孫で長崎市永井隆記念館の永井徳三郎館長(44)は「子どもたちと一緒に祖父の思いが込められた桜が大きくなってほしい」と話していた。

(2010年12月21日朝刊掲載)

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