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社説・コラム

原発の方針は 宮沢経産相に聞く 既存の再稼働を優先

 宮沢洋一経済産業相(参院広島)は23日、中国新聞などのインタビューに応じた。原発の新増設は既存の原発の再稼働を優先し、当面は議論しない考えを強調した。(藤村潤平)

  ―原発の新増設は「現在考えていない」と表明しましたが、今後の議論はどうしますか。設備がほぼ完成している中国電力島根3号機(松江市)への対応は。
 今は、安全性が確保された原発の再稼働を進めていく段階。地元の理解を得る努力をしている中で新増設の議論をできる状況ではない。島根3号機をはじめ、電源開発大間原発(青森県)、東京電力東通1号機(同)は既設扱いで作業が進んでいる。新増設にはならない。

  ―九州電力川内原発1、2号機の再稼働を進める方針を強調しています。地元にはいつ行き、どんな話をしますか。
 相手があり、日程はまだ決まっていない。原子力規制委員会による世界で最も厳しい基準をクリアしていることをもう一度しっかり申し上げたい。地元の皆さんに理解をいただくことが私の仕事だ。

  ―東京電力株を保有しています。電力会社を監督する大臣として適切な指導ができますか。
 (株式などの取引を自粛する)大臣規範を緩めなければ売ることはできない。許されるなら売却したい気持ちはある。一方で、東電は、福島第1原発の廃炉や汚染水処理など重要な国策を担う会社。責任者としては、株を手放すのは難しいとの思いもある。

  ―使用済み核燃料の最終処分場が決まっていない中での再稼働推進には根強い批判があります。
 最終処分は、私たちの世代で解決しなければならない重要な課題。いずれ国が科学的有望地を提示することを考えているが、要件や基準を具体化しなければいけない。将来の世代に先送りしないことが大事だ。国民や地域の方の理解を得ながら、着実に進めたい。

  ―経産省が推し進めようとする法人税減税には、これまで慎重な立場でした。
 立場は違っても、将来性ある企業が伸びる素地をつくり、今後の日本経済を支えるには財政健全化が必要との考えは(法人税減税支持派と)同じだ。両方(の立場)を満たす解を、与党とともに考えていきたい。

(2014年10月24日朝刊掲載)

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