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「原爆の子の像」募金へ 共感の輪広げたビラ

■記者 永里真弓

 広島市中区の平和記念公園にある「原爆の子の像」(1958年完成)の建立への協力を呼び掛けるビラが原爆資料館に寄贈された。半世紀前、子どもたちの行動を機に全国へと共感の輪が広がった建立運動。当時、似島中生徒会長だった新江新一さん(66)=佐伯区=が保管していた。

 被爆し、生きる希望を折り鶴に託し12歳で逝った佐々木禎子さん。建立運動はその死を悼む幟町中の級友たちの呼び掛けで始まった。寄贈されたビラは運動を担った「広島平和をきずく児童・生徒の会」が作成した。

 ざら紙で縦13センチ、横18センチ。一角が破れているが、印刷は鮮明で良好な状態。「広島市ぜんぶの小・中・高校の児童・生徒会が、この像を建てる運動をおこしました」「どうか皆さん、私たちにお力ぞえ下さい」と募金への協力を求めている。

 生徒会長だった新江さんは、1956年に幟町中であった「広島平和をきずく-」の集いに参加。ビラはその時に配られた、とみられる。記念撮影した写真と一緒にアルバムに収めていた。

 新江さんが今月9日、原爆資料館で開かれている企画展「千羽鶴に託す平和の願い 原爆の子の像を作った子どもたち」を見学。展示品の中に同じビラがないことから寄贈を申し出た。

 原爆資料館によると、禎子さんの同級生が全日本中学校長会で配ったビラや「広島平和をきずく-」の会報はあるが、今回と同じものは保管していない。啓発担当の菊楽忍さん(49)は「子どもたちが自発的に活動をしたことを示す貴重な資料」と説明。早速、コピーを展示している。30日まで。

(2008年6月18日朝刊掲載)

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