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シュモー氏の功績一冊に 市民団体結成10年で出版 写真や書簡…人間愛伝える 広島

 戦後の広島に被爆者の住宅を建てた米国の平和運動家フロイド・シュモー氏(1895~2001年)を紹介する本を、広島市の市民団体「シュモーさんの『ヒロシマの家』を語りつぐ会」(今田洋子会長)が自費出版した。「平和のために行動したシュモー氏の精神を広めよう」と、結成後10年間に学んだ史実をまとめた。(田中美千子)

 「ヒロシマの家―フロイド・シュモーと仲間たち」(A5判、159ページ)。1949~53年、日米のボランティアと共に市内各地で15棟計21戸を建てた功績をまとめた。ゆかりの写真や書簡も紹介。関係者たちの寄稿を通し、人間愛にあふれる人柄も伝えている。

 会は04年に結成後、関係者を訪ね歩き、シュモー氏について学んできた。今田さんは「母国の原爆投下に心を痛め、謝罪の気持ちを行動で示した。市民の米国を見る目を変え、和解の道も開いた」とほれ込む。会の名称も11月1日に「シュモーに学ぶ会」に変更するという。

 各区の市立図書館に寄贈するほか、原爆資料館(中区)の売店でも販売予定。972円。

 シュモー氏が携わった建物で現在残るのは中区江波二本松の集会所だけ。復興を支えた外国人の資料を展示する原爆資料館の付属施設「シュモーハウス」として開館し2周年になるのに合わせ、会は11月1~3日の午前10時~午後3時に展示解説をする。入場無料。

 中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では8日午後2時から記念講演会があり、今田さんも収集した写真を紹介する。無料。

(2014年10月31日朝刊掲載)

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