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収支安定へ原発再稼働訴え 会見で中電社長 3年ぶり黒字転換見込み

 原発稼働なしで今期、3年ぶりの黒字転換を見込む中国電力。広島市中区の本社で会見した苅田知英社長は経営効率化の進展を強調する一方、「収支の安定には原子力発電所の再稼働が非常に大事」と訴えた。

 中間期の純利益が5年ぶりの高水準となり、通期でも3年ぶりの黒字を見込む。苅田社長は「しっかりした経営効率化で収支が好転する」と述べた。一方で燃料価格は乱高下し「収支構造は非常に不安定」と説明。設備補修の繰り延べなどの継続は「難しい」とし「安全確保を大前提にした原子力の運転が中長期的に必要」と主張した。

 全国の電力会社では抜本的な電気料金の値上げが相次ぐ。苅田社長は「料金の維持に引き続き全力で取り組む。値上げは全く考えていない」との考えをあらためて示した。

 島根原発の再稼働では、鳥取県から安全対策に向けた財政支援を求められている。苅田社長は「知事の意向を踏まえ対応する。考えを聞きながら、どう答えるか検討する」と話した。

 急増する再生可能エネルギーの買い取り要請には、一定の危機感を示した。九州電力など他電力に買い取り制限が相次ぐ中、「管内に再生エネが集中する可能性もある。他社と同じ状況になるかもしれない」と説明。事業者には、中電のホームページで紹介している買い取り状況を参考にするよう呼び掛けた。

 2016年に迫る電力小売りの全面自由化に備え、三隅火力発電所(浜田市)への2号機建設や関西電力への卸売りを模索する中電。関電の新設火力発電所の入札参加は「決めた事実はない。いろいろと考えているが、競争入札に向けた検討状況は言えない」と述べるにとどめた。(山瀬隆弘、河野揚)

(2014年11月1日朝刊掲載)

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