×

ニュース

父眠る硫黄島 若者も知って 安芸高田市甲田の山広さん 吉田で展示会 

 太平洋戦争末期の硫黄島の戦いで、父を亡くした安芸高田市甲田町上甲立の主婦山広信子さん(69)が、現地で遺骨収集活動中に撮影した写真や、父の手紙の展示会を同市吉田町吉田の喫茶店アンソレイエで開いている。山広さんは「来年で終戦から70年。風化させないためにも、若い人に見てほしい」と話している。(瀬良友和)

 父の森田信義さんは三次市布野町横谷出身。1944年7月に召集され、45年3月に37歳で戦死した。山広さんが生まれたのは同年1月で、家族が誕生を知らせる手紙を送ったが、届いたかどうかは分からないという。

 山広さんは、写真でしか知らない信義さんの硫黄島での日々を追体験したいと、2001年から遺骨収集活動に参加。これまで計8回現地を訪問した。

 地下壕(ごう)や慰霊祭の様子など、06年までに現地で撮影した写真32枚をパネル展示。信義さんが硫黄島から出した手紙4通も並ぶ。「内地は寒さあわただしく、積雪も多く子供の通学にも苦しむことと思い居ります」などと家族をいたわる文言がつづられている。

 山広さんは、ことし10月にも、国の遺骨帰還事業に参加し、硫黄島に約2週間滞在した。毎日7時間、土を掘り返し遺骨や遺品を捜す作業をした。「体力を考えると、いつまで参加できるか分からない。激戦の地で何があったのか知ってもらえたら」と話している。

 20日まで(9日休み)。午前11時~午後4時半。入場無料。アンソレイエTel0826(42)3656。

(2014年11月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ