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核燃料税上げ交付金 島根県検討 30キロ圏4市に

 島根県が、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備える原発30キロ圏4市に、原子力防災に充てる独自の交付金の配分を検討していることが5日、分かった。財源には原発の運転と立地に伴い中電から徴収する核燃料税を充てる。福島第1原発事故を受け、4市の防災費用が膨らんだのを考慮した。(樋口浩二)

 4市は松江、出雲、安来、雲南市で、税収の2割を配分する方向。配分率は、原発が立地する松江市を6割、出雲市2割、安来、雲南両市を各1割とする案を軸に調整している。

 県は4市への配分に向け現在、中電から燃料価格の13%を徴収している核燃料税の課税率を来年4月に17%へ引き上げる方針を固めた。さらに17%の半分の8・5%は原発稼働に関係なく原発の出力に応じて徴収する「出力割」を導入する。

 核燃料税の5年に1度の改定期を来年4月に控え、県は、今月19日開会予定の県議会定例会に関連の条例改正案を提案する方針。中電も了承済みで、今後4市と配分率を詰める。

 福島の事故後、島根原発は運転を開始しておらず、燃料挿入後に課税する現行制度では、2014年度の税収は4年連続でゼロの見通し。一方、税率8・5%の出力割を導入した場合の15年度税収は現状が続いた場合、約5億3千万円とみられる。このうち計1億円が4市への配分額となる。

 原発立地道県では、北海道や静岡県などが福島の事故前から核燃料税を周辺自治体に配分している。島根原発30キロ圏の鳥取県は防災費用の増加を理由に10月、中電へ財政支援を要請。中電が検討している。

(2014年11月6日朝刊掲載)

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