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放射線防護工事着手へ 島根県庁 来年3月完成

 島根県は今月中旬、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備え、県庁本庁舎の放射線防護工事に着手する。コストなどから庁舎全体の改修は見送り、防災部局や幹部室など約3分の1のエリアの圧力を高めて放射性物質の流入を防ぐ。来年3月に完成の予定。原発立地13道県による庁舎改修は初めて。

 本庁舎は、全国で唯一県庁所在地に立地する原発の南東約9キロに位置する。県によると、地下1階地上7階の延べ1万6800平方メートルのうち6100平方メートルを、非常時に密閉できる「防護区画」と設定。防災部や知事室がある3、6階は全体、他の階は一部を改修する。

 放射性物質を取り除いた上で外気を取り入れる送風設備を中庭に3台導入。庁舎内の圧力を常時高く保ち、外気の流入を防ぐ。総工費は約6億円で、全額国の補助金を充てる。

 本庁舎は原発事故の際、近くの県オフサイトセンターと連携。鳥取県も含め原発30キロ圏約47万人の避難を指揮する拠点となる。県は昨年度に同センターの放射線防護工事を終えたほか、原発10キロ圏内の松江市役所、県原子力環境センター(ともに松江市)の改修も来年3月までに終える。県避難対策室は「住民避難の要となる施設。改修工事で安全な執務スペースを確保できる」としている。(樋口浩二)

(2014年11月7日朝刊掲載)

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