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爆心から半径1キロ CG化 田辺さん構想

■記者 金崎由美

 被爆前の広島の爆心地付近をコンピューターグラフィックス(CG)で再現してきた広島市西区の会社社長田辺雅章さん(73)が、範囲を爆心地から半径1キロに広げた映画制作を構想している。25日に広島市である国際会議で産学官の国際プロジェクトとして提案し、被爆70年の2015年完成を目指す。

 田辺さんは1997年、生家の隣にあった旧広島県産業奨励館(現原爆ドーム)など爆心地付近の再現に着手。精緻なCGと元住民の証言映像を組み合わせ、街並みや暮らしぶりを映画で伝えてきた。昨年8月には、中島地区(現平和記念公園)の映画が完成。短縮版を米ニューヨークの国連本部で上映して反響を呼んだ。

 今回の構想に関し、田辺さんは「街の営み全体をよみがえらせ、原爆が奪った文化や歴史がどんなものだったかを後世に伝えたい」と語る。CG化は広島城や福屋百貨店を含む旧市街地の主要部分を網羅する考えでいる。

 田辺さんは25日、広島国際会議場(中区)で失われた文化の疑似体験による伝承をテーマに開かれる国際会議に出席し、国内外の専門家や元住民に制作への協力を呼び掛ける。

 会議は、田辺さんに協力してきた早稲田大ユネスコ世界遺産研究所の主催。ハリウッド映画でCG制作をしてる専門家の討論や国連本部で流した作品上映もある。開会は午後1時。無料。先着450人。

(2011年1月18日朝刊掲載)

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