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南米被爆者の証言発刊 ブラジル平和協会 90人の手記収録

 ブラジル被爆者平和協会は、結成30周年を機に、証言集「南米在住ヒバクシャ 魂の叫び」を発刊した。一時帰国中の森田隆会長(90)=サンパウロ市=たちが7日、広島市役所であった記者会見で披露した。

 A5判、247ページ。亡くなった人も含め、同国やパラグアイなどに移住した90人による、主に1987年以降の手記を集めた。家族を失ったり、差別に苦しんだりした被爆者の「血の出るような叫び」(森田会長)、祖国や平和への思いがつづられている。

 焼け野原に咲くバラを描いた表紙は、ブラジルで有名な平和を願う歌「広島のバラ」にちなむ。協会を支援してきた広島大の田村和之名誉教授によると、在外被爆者団体が証言集を刊行するのは初めてという。

 800部を印刷。近く原爆資料館(広島市中区)や広島県内の図書館などに贈る。来年の被爆70年を機にポルトガル語に翻訳し、ブラジルの学校にも配る。

 森田会長は「日本政府の援護もなく亡くなった仲間を思うと、胸が痛む。若い世代に史実を伝える教材として役立ててほしい」と願っている。(馬場洋太)

(2014年11月8日朝刊掲載)

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