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在外被爆者に医療費を 広島で集い 在米の森中さん訴え

 「在外被爆者と交流する集い」が9日、広島市中区の広島弁護士会館であった。被爆者援護法に基づく医療費支給を求めて広島県や国を提訴している在米被爆者13人の一人、森中照子さん(82)=カリフォルニア州在住=が、12日に広島地裁である本人尋問を前に思いを語った。

 森中さんは「米国は公的医療保険が貧弱。民間保険に加入していても、追加で高額の自己負担をしないと、手術時などに保険金が支払われない」と日米の制度の違いを説明。その上で「なぜ国外居住者だけ差別されるのか、悔しくて情けない」と嘆き、「年齢的に来日は今回が最後だろう。ほかの原告の役に立てるよう、頑張って陳述したい」と決意を述べた。

 集いは「在ブラジル・在アメリカ被爆者裁判を支援する会」(中区)などが主催。森中さんと同様に原告の一人として今月、広島地裁で意見陳述する予定だった米国原爆被爆者協会の遠藤篤会長が7月下旬に亡くなったことも報告された。

 原告団は、国外居住が理由で同法に基づく医療費支給を受けられないのは違法な差別として、支給申請を却下した広島県の処分取り消しと、県と国に1人当たり計110万円の慰謝料を求め、2012年3月に提訴した。(馬場洋太)

(2014年11月11日朝刊掲載)

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