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開発者のおい 米元軍人の娘 回天出撃70年 日米2人 奇跡の対面 周南

 回天の開発者の一人で、初めて出撃した「菊水隊」隊員の仁科関夫中尉にゆかりのある日米の2人が、追悼式で初対面した。「かつての敵同士が笑顔で話せる」と平和の重みをかみしめた。

 仁科中尉のおいの河原一郎さん(62)=兵庫県尼崎市=と、菊水隊に攻撃された米海軍タンカーの乗組員を救助した元軍人を父に持つカレン・ウォールさん(60)=岩国市。カレンさんが語る救助の様子に河原さんは「うん、うん」と聞き入った。

 菊水隊は1944年11月8日、大津島を出発。同20日、西太平洋のウルシー環礁でタンカーのミシシネワに特攻し、21歳の仁科中尉たち4人が戦死。米軍側は63人が亡くなった。水上飛行機の無線技士だったカレンさんの父故ラッセル・エバンルードさんは、海に飛び降りた乗組員にロープを投げて救助した。

 河原さんは50年余り前、大津島での式に祖母と参列。以降、回天が親類の間で話題に上ることはなかった。「どんな叔父だったのか」。昨秋に島を訪れた際、式が毎年開かれていると知り、妻直子さん(58)と参列した。

 出撃から70年の節目に合わせ、回天顕彰会がカレンさんと米海兵隊岩国基地内の学校で働く夫ラリーさん(59)を式に招き、対面が実現した。河原さんは「追悼式は平和の尊さを共有する場でもあると感じた」。カレンさんは「奇跡のような出会い。交流を深めたい」と話した。(桑田勇樹)

(2014年11月11日朝刊掲載)

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