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沖縄知事選を注視 山口県と岩国市関係者 艦載機移転に影響か

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設の是非を最大の争点に16日に投開票される沖縄県知事選の結果を、県と岩国市の関係者が注目している。移設に反対する新知事が誕生した場合、県と市が米海兵隊岩国基地(岩国市)をめぐる在日米軍再編の前提としてきた「普天間の危険性除去」が滞り、空母艦載機移転に影響を与える可能性があるためだ。(野田華奈子、増田咲子、村田拓也)

 岩国基地には米軍再編で、8月に普天間飛行場からKC130空中給油機部隊が移転。2017年ごろまでには米海軍厚木基地(神奈川県)から艦載機59機が移る計画だ。県と市は艦載機移転を容認していないが、愛宕山地域開発事業跡地では米軍家族住宅の建設など国による受け入れ準備が着々と進む。

 山口県と市は、市街地に位置する普天間飛行場の固定化を避けるなど沖縄の負担軽減が米軍再編の前提と捉えている。村岡嗣政知事は10日の記者会見で「普天間移設の見通しが立たないうちに艦載機移転のみを切り離して進めることは認められない」と、岩国の負担だけが増える事態は受け入れられないとする従来のスタンスをあらためて強調した。

 沖縄県知事選は、辺野古移設反対を掲げる無所属新人の前那覇市長翁長雄志(おなが・たけし)氏がリードを保ち、昨年末に辺野古の埋め立てを承認した現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏が猛追する展開で終盤を迎えた。

 政府は選挙結果にかかわらず移設を進める姿勢だが、曲折すれば普天間の固定化が続くことも予想される。自民党県議の一人は「移設が進まなければ沖縄の基地負担軽減という前提そのものが崩れる」と影響を懸念する。

 一方、市議でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」の桑原敏幸会長は「誰が沖縄の知事になっても普天間の危険性除去が大事なのは変わらない。全国で負担を分かち合えるよう訴える」と話す。

 岩国基地の拡大に反対する「愛宕山を守る市民連絡協議会」の岡村寛世話人代表は、「移設までに時間がかかれば、岩国へ新たな負担が押し付けられるかもしれない」と不安視。知事選の行方を見守っている。

(2014年11月15日朝刊掲載)

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