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原爆症認定 厚労省検討会が第2回会議

■記者 岡田浩平

 厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」(座長・森亘東大名誉教授、14人)の第2回会議が27日、同省であった。参考人として意見を述べた被爆者は、実態に基づいた認定への見直しを求めた。

 日本被団協から3人の参考人が発言した。広島で被爆した岩佐幹三事務局次長(82)は原爆で母を失い、自らも急性症状に苦しんだ体験を話した。投下後に十分な救援が無く被爆者が放置されたとして「原爆被害を過小評価する政策を直ちに転換してほしい」と求めた。

 長崎被爆の木戸季市事務局次長(71)は残留放射線による健康への影響の大きさを指摘。原爆被爆者中央相談所の伊藤直子理事(63)は、政令で認定対象の病気や障害を定め重篤度に応じて手当を支払う仕組みを提案した。

 一方、参考人で元厚労省官僚の植村尚史・早稲田大教授(社会保障政策)は、一般の戦争被害について「受忍論」の立場から国の補償責任を否定する判例が相次いでいると指摘。原爆被害者を他の戦争被害者と区別するため、原爆放射線による健康障害の有無について科学的知見に基づく客観的判断が求められると述べた。

 終了後に会見した検討会委員で被団協事務局長の田中熙巳(てるみ)氏(78)は「受忍論は誤っていると検討会で立証する必要がある」と話した。次回は司法や行政の関係者から聞き取りをする。

(2011年1月28日朝刊掲載)

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