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岩国基地への影響注視 沖縄知事選で辺野古移設反対派当選 艦載機移転難しい判断

 沖縄県知事選で米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する前那覇市長翁長雄志(おなが・たけし)氏が当選したのを受け、山口県と岩国市が米海兵隊岩国基地(岩国市)をめぐる在日米軍再編への影響を注視している。移設が滞れば再編の前提である普天間の危険性排除が進まない可能性があり、空母艦載機移転の受け入れで難しい判断を迫られるためだ。

 岩国基地には8月に普天間飛行場からKC130空中給油機部隊が移転。2017年ごろまでに米海軍厚木基地(神奈川県)から艦載機59機が移る予定だ。県と市は艦載機移転の容認を明言していないが、基地内では関連工事が、愛宕山地域開発事業跡地では米軍住宅建設などが進み、国による受け入れ準備が進む。

 再編の目的の一つは「沖縄の負担軽減」で、住宅地に隣接する普天間飛行場の固定化を避ける必要性に県と市は理解を示してきた。17日、村岡嗣政知事は「普天間移設の見通しが立たないうちに艦載機移転のみを切り離して進めることは認められない」と従来のスタンスを強調。岩国の負担だけが増える事態は受け入れられないとした。

 16日投開票の沖縄県知事選で初当選した翁長氏は、現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事が昨年12月に認めた辺野古沿岸部の埋め立て承認について、撤回も視野に入れる。村岡知事は「仲井真知事の承認で見通しが立ったとの理解だったが、新知事や政府の対応を見ていく必要がある」と述べた。

 政府は計画通り移設を進める考えだが、関連手続きが遅れれば普天間の固定化にもつながりかねない。岩国市の福田良彦市長は「移設は国と地元の問題」とした上で、「普天間の全面返還の必要性は誰もが認めるところ。国は地元の理解を得るために最大限努力する必要がある」とのコメントを出した。(野田華奈子、門戸隆彦)

(2014年11月18日朝刊掲載)

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