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社説・コラム

[施行迫る特定秘密保護法] 特定秘密保護法の違憲訴訟を起こしたフリージャーナリスト・寺沢有さん(47) 

法の乱用に歯止めを

 特定秘密保護法は、報道や表現、取材の自由を侵害し、変容させるものだ。取材を進めるうちに特定秘密を探っているとして摘発されることも十分想定され、取材の萎縮、自重を狙っている。

 取材や表現活動にどのような影響が出るのかが見通せない。違憲訴訟で国側の言質をとり、法の乱用に歯止めをかけたい。

 秘密保護法は憲法が保障する表現の自由を侵害し違憲として、3月に東京地裁に提訴。東京を拠点に活動する寺沢さんをはじめ、原発問題や戦地、自衛隊などを取材するジャーナリストや映画監督たち全国の43人が原告となった。既に3回の口頭弁論が開かれ、法の運用について国側が具体的な見解を示している。

 国側は、特定秘密についてフリーの記者も正当な取材活動であれば違法性を問わないと明らかにした。裁判をしなければ分からなかったこと。現在、原告の本人尋問を申請している。これまでの経験を提示して、どのケースが法に触れるのか具体化させたい。

 国は、特定秘密に該当するものとして「情報収集活動の情報源」を示している。警察取材が専門の自分の経験則で言うと、例えば裏金問題があったとする。裏金の帳簿に特定秘密に絡む情報源の記載があるという理由で帳簿自体を特定秘密にしてしまうことも考えられる。本当は秘密でないものも明かさなくなる。結果、「何も言えない」「何も言わない」行政になる。

 同様の違憲訴訟は横浜、静岡両地裁を含めて3件が提訴されたが、いずれも東京高裁管内だ。この法は市民運動にも大きく影響する。広島でも訴訟を起こし司法の判断を仰いでほしい。(聞き手は胡子洋)

(2014年11月20日朝刊掲載)

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