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原爆詩「慟哭」全編 朗読切々と 東京の俳優松川さん

■記者 岡田浩平

 広島の原爆詩人、故大平数子さんの長編詩「慟哭(どうこく)」の朗読に、俳優の松川真澄さん(東京都杉並区)が取り組んでいる。オリジナル曲を付けて全編を朗読したCDを自主製作。都内でチャリティー公演を開くなど、子を思う母の心を通して平和への願いを発信している。

 大平さんが1981年に出版した詩集「少年のひろしま」で「慟哭」と題した作品は同名の「慟哭」や「あい」「子どもたちよ」など22編からなる。松川さんはCDに全編の朗読を収録。作曲家の水野俊介さんが曲を付け、ウッドベースやピアノの音色が詩の世界に深みをもたせる。約37分。

 松川さんは作品の背景などを深く解釈する「劇的朗読家」を名乗り、10年余り前から終戦の日に合わせた戦争文学の朗読公演を続けている。昨年、原爆詩集で「慟哭」を見つけた。声高な反戦の叫びではなく母の心を切々とつづっているのにひかれ、取り上げた。

 10月には広島市などでの催しで全編を朗読。「作り込んだ音楽と語りで表現したい」とCD化を企画した。1月下旬には都内で発売記念の公演を開催。収益金の約4万円は広島市の原爆養護ホームを運営する広島原爆被爆者援護事業団に寄付する。CDの収益も贈るという。

 松川さんは「子どもたちに武器をとらせてはいけないという共感が広がり、平和が築ければ」と、各地での公演に意欲的だ。CDは2100円。松川事務所Tel03(3396)6030。

(2011年2月6日朝刊掲載)

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