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被爆者の遺品主役に 児童書出版へ 米国人詩人ビナードさん

■記者 増田咲子

 米国人詩人アーサー・ビナードさん(43)=東京都板橋区=が、原爆犠牲者の遺品を主役にした児童書「さがしています」の執筆に取り組んでいる。知人の写真家岡倉禎志さん(47)=世田谷区=とともに7日、広島市中区の原爆資料館を訪れ、本に収録するため遺品の撮影を始めた。

 収録するのは、建物疎開作業に出ていた少年の革靴や少女の手帳をはじめ、ワンピース、弁当箱など資料館が所蔵する14点。焦げた跡も残る遺品を丁寧に写真に収めていた。撮影は8日も続ける。

 今回の本は、遺品が原爆被害や持ち主について語るストーリー。それぞれにまつわる遺族の手記などを資料館から借りて読み込んでいるビナードさんは「遺品が発する声なき声に耳を澄まし、通訳のつもりで伝えたい」と話している。  ビナードさんは米国での中学時代に教わった原爆投下正当論に疑問を感じたという。1990年に来日し、第五福竜丸を取り上げた絵本も執筆している。

 本は6月に童心社(東京都文京区)から出版する。

(2011年2月8日朝刊掲載)

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