×

ニュース

原爆資料館改修 耐震調査に遅れ 着工は16年度に

■記者 金崎由美

 広島市は8日、大幅改修を計画する原爆資料館(中区)の全面再オープンが、予定より1年遅れ2018年度になることを明らかにした。本館の耐震補強に向けた事前調査が遅れているのが理由。

 本館は1955年、建築家の故丹下健三氏の設計で完成。2006年に国の重要文化財に指定された。老朽化が進み、市は、文化庁が指定する専門家と協議しながら、2010年度中に耐震補強の計画を策定する予定だった。

 だが、国重文の鉄筋コンクリート建築の耐震補強は過去に例がなく、柱の上に巨大な建物が乗る特殊な構造も準備作業に時間を要する一因となっており、2015年度の着工予定を1年遅らす判断をした。

 澳和明・被爆体験継承担当課長は「原爆資料館は建築物の価値も高い。改修には慎重を期したい」とする。

 原爆資料館の大幅改修は総事業費46億7千万円。本館の耐震工事のほか、東館1階から3階までの直通エスカレーターを設ける。当初は2013~14年度に東館、2015~16年度に本館を本格工事する予定だったが、いずれも1年遅れる。本格工事中はそれぞれの館が閉館する。

 改修に合わせ、有識者による検討会議が展示内容の見直しも議論している。本館は、被爆直後の惨状の全体像を伝える「8月6日のヒロシマ」と、被爆者や遺族が抱えてきた悲しみや苦しみを刻む「被爆者」のエリアに分ける方針。放射線の後障害を伝える展示の強化も確認している。

(2011年2月9日朝刊掲載)

関連記事
放射線後障害の展示強化を確認 原爆資料館検討会議 (10年12月 6日)
原爆資料館展示見直し 有識者、本館を議論 (10年9月28日)
原爆資料館展示見直し 有識者検討会議が初会合 (10年8月17日)

年別アーカイブ