社説・コラム

　なぜこんなことを…。子どもは思いつきをすぐ行動に移す。中国でコンクリート柱の間に入った男児が動けなくなった。救助隊は苦戦の末、頭の後ろに油をたらり。やっと抜けた。かわいい半べそ顔をニュースで見た▲大阪の女児がろうそくをかじったのは、決して好奇心ではあるまい。虐待されて食事を与えられなかったらしい。腸からはアルミ箔（はく）も。生きようと必死だったに違いない。想像もつかぬ絶望の中、３歳の子は旅立った▲父母は殺人の疑いで逮捕されたが、命はもう戻らない。どうして行政や周囲の目が届かなかったのか。育児放棄は絶えず、貧困ゆえに希望を持てない子も多い。先進国日本の情けない実像である。大人たちの何と頼りないことか▲生きる、守られる、育つ、参加する。子どもの権利条約はこの四つを定める。国連の採択から２５年。世界は変わったか。想像してごらんと問い掛けるように、ジョン・レノンさんの「イマジン」が記念行事で歌われた▲私たちの周りに、厳しい状況に置かれた子どもたちがいる。歌の通り、まずは想像してみよう。小さな胸を震わせ、かすかなＳＯＳを発していないかと。キャッチしたらすぐ、手を差しのべたい。

（２０１４年１１月２６日朝刊掲載）