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ブラジル被爆医療 元研修医の組織発足

■記者 門脇正樹(サンパウロ)

 広島県や広島市などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)の土肥博雄会長が6月19日(現地時間)、日本人移住100周年を迎えたブラジルのサンパウロ市を訪れ、被爆地で研修を受けて帰国したブラジル人医師のネットワーク組織「留学生の会」を発足させた。

 同市のサンタクルース病院であった初会合には、HICAREが結成された1991年以降に広島、長崎両市で放射線被害の実態や治療技術を学んだ外科や内科などの医師ら13人が参加した。

 土肥会長は「高齢化した被爆者のため、ばらばらだったブラジルの被爆医療を結束させる必要がある。つながりを強めよう」とあいさつ。病院内に会の事務局を設置し、電話番号や電子メールなどの連絡網を整えたり、年に一度は会合を開いたりすることを申し合わせた。

 HICARE事務局の広島県によると、これまでブラジルから受け入れた研修生は30人。帰国後は、病院幹部や大学教授などとして活躍しているが互いに面識がなく、持ち帰った新旧のノウハウが医療現場で十分発揮されていない面もあるという。

 2005年に広島市内の医療機関で研修した日系三世の内科医師デーボラ・オカさん(41)は「情報を共有し、被爆者医療を一層充実させたい」と意気込んでいた。

(2008年6月21日朝刊掲載)

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