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社説・コラム

[現場から2014衆院選] 騒音深刻 住民ら「争点に」 米軍機低空飛行

 米軍機とみられる低空飛行訓練による騒音が、県西部で相変わらず続いている。地元自治体は在日米軍に低空飛行中止を働き掛けるよう国へ要望するが、騒音が収まる気配はない。住民から衆院選での争点化を求める声が高まっている。(森田晃司)

 これまで頻繁に騒音被害を受けてきた島根あさひ社会復帰促進センター内の認定こども園「あさひ子ども園」(浜田市旭町)。藤田美津恵園長は「園庭から確認していた機体が、10月以降は職員室の窓から見えるようになった。以前より低空で飛んでいるのではないか」と推測する。

 同センターには、地元自治体の要請を受けて国が昨年8月、広島県北広島町とともに初めて騒音測定器を設置した。センターの測定器が観測した70デシベル(騒がしい街頭に相当)以上の騒音はことし9月に28回だったのが、10月は218回に急増した。

 同月の測定のうち100デシベル(線路のガード下に相当)を超えたのは22回。藤田園長は、騒音に泣きだす園児もいるといい「せめて訓練が集中する時期や時間が分かれば、外遊びを控えるなど対応できるのだが」と弱り切る。

 浜田市と邑南町、県は2011、12年、江津市、益田市、川本町を含む5市町に測定器12器を設置。ことし1~10月に計測した騒音は計1110回で、昨年1年間の1083回をすでに上回った。

 浜田市は11年から単独で国や米側に被害軽減策を要望してきた。だが、民家の窓ガラスが割れるなど被害が深刻化したため、周辺4市町に呼び掛けて昨年2月、米軍機騒音等対策協議会を結成。昨年に続きことし10月、防衛省と外務省に要望し「実情を米軍側に伝える」との返答を得たが、何も変わらない。

 住民グループ「米軍機の低空飛行と飛行騒音の即時中止を求める島根石東連絡会」(邑南町)の井上義信事務局長は「米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転も計画されており、さらに騒音が激しくなる恐れがある」と指摘。「日米同盟、集団的自衛権の問題と合わせて、立候補者には主張を明示してほしい」と話し、衆院選での論戦を期待している。

(2014年11月27日朝刊掲載)

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