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放射線災害 対応考える 広島で国際フォーラム 福島事故事例など報告

 「放射線緊急事態への対応の在り方」をめぐって国内外の研究者が議論するフォーラムが27日、広島市中区の広島国際会議場で始まった。放射線災害からの復興を支える専門家を育てようと、国際原子力機関(IAEA)と広島大が初めて企画。学生や市民を含む約90人が参加した。

 放射線学や心理学、保健学に詳しいフランス、シンガポールなど9カ国の専門家13人が事例などを交えて報告した。

 福島第1原発事故後、広島大の「緊急被ばく医療派遣チーム」の団長として現地で活動した谷川攻一教授(救急医学)は、原発から20キロ圏内の病院や介護施設の患者を避難させようとしたとき、受け皿となる施設が数日間見つからなかったことや、避難中に十分な処置が施せず、60人が死亡したケースなどを報告。「避難時の適切なケア体制づくりが大切」と訴えた。

 原発事故を想定した放射線科専門医を育成する必要性や、放射線被害を恐れる住民に情報提供する際の注意点に関する発表もあった。28日は、放射線災害復興学を独自に推進する広島大大学院の「フェニックスリーダー育成プログラム」の成果発表などがある。(久保友美恵)

(2014年11月28日朝刊掲載)

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