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神崎小が100年誌 原爆で名簿焼失

■記者 山本堅太郎

 広島市中区の神崎小に通う児童の保護者や教職員、地域住民が同小創立100周年記念誌を発刊した。1945年の原爆投下で名簿が焼失。当時の全校児童1860人のうち、名前が分かった460人の名簿を掲載している。

 同小は10年開校。昨春に節目を迎えた。原爆投下時は全校児童の大半が疎開していたが、140人が死亡し、校舎は全壊した。1950年に再建されるまで、児童は本川、舟入両小に通学し卒業したため、45~49年度の5年間は神崎小としての卒業者名簿はない。

 発刊に当たり、前校長の菅田文夫さん(62)がこれまでの卒業生に加え、この「空白の5年間」の名簿掲載を提案。編さん担当の西村博蔵さん(59)ら12人と協力し、2年かけて調べた。

 記念誌はA4判、258ページ。名簿のほか、在校生の活動や神崎学区の歴史と成り立ちを記した。また45年に同小に入学した漫画「はだしのゲン」原作者中沢啓治さんへのインタビューも盛り込んだ。

 1500部を印刷。在校生や昨年度卒業生、協力者に配る。希望者には1冊3千円で販売する。菅田さんは「原爆という理不尽な力で母校や家族を失った方々の思いを、少しでもくみ取ってあげられた」と満足。西村さんは「子どもたちの平和学習の道しるべになれば」と願っていた。

(2011年2月13日朝刊掲載)

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