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社説・コラム

[施行迫る特定秘密保護法] 市民団体「秘密法廃止!広島ネットワーク」共同代表・沢田正さん(65)

市民運動を萎縮させる

 法が施行されれば、テロやスパイ対策の名目で市民運動や参加者の監視が確実に強化される。活動を萎縮させるのは間違いない。今の政治に対する自由な意見表明ができなくなる。民主主義の根幹を揺るがすものだ。

 元共同通信記者で、警察や司法などを取材する社会部畑を主に歩んだ。

 特定秘密を扱うことができる人物かどうかを調べる「適性評価」は問題。対象者やその周辺者の思想、信条の部分にも踏み込む。情報収集は能力的に公安警察がやるだろう。記者時代、公安警察はかなり取材したが、やっていることは、とにかくブラックボックスだ。

 踏み込んだ監視活動をしており、持っている情報も生半可なものではない。今回の法の施行で身辺調査に法律的な根拠ができた。理由ができたことで法律に基づく「秘密警察」のスタートになる。

 秘密法廃止!広島ネットワークは、街頭署名や集会を開催し、法の問題点を広くアピール。広島県内の市議会や町議会に対し、法に反対する意見書の可決を求める文書も送った。

 団体が発足した昨年10月以降、反対集会の参加者が倍々のペースで増え続けている。法律の中身が分かれば反対の声が高まる。一人一人の声が法の廃止に向けた大きな力になる。

 安倍政権は集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、秘密保護法も整えた。憲法9条と大きく関わり、ヒロシマから声を上げる意義は大きい。中国地方には米軍基地を抱える岩国、自衛隊基地の呉、低空飛行問題が深刻な西中国山地があり、秘密保護法と無縁ではいられない。反対の輪を広げたい。(聞き手は胡子洋)

(2014年11月29日朝刊掲載)

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