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穏やかな旋律 願う平和 長崎市役所二胡愛好会 広島の原爆養護ホームで演奏

 長崎市役所二胡(にこ)愛好会の一行が29日、広島市を初めて訪れ、原爆養護ホーム倉掛のぞみ園(安佐北区)で演奏会を開いた。被爆した両市を音楽で結ぶ取り組み。平和を願う思いを、穏やかな旋律に込めた。(谷口裕之)

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の智多正信館長(65)を含む16人がステージに登場した。オレンジや黒の中国服姿。入園者や家族、職員たち約100人を前に、「北国の春」「折り鶴」「長崎の鐘」など計10曲をゆったりとしたテンポで奏でた。

 二胡は長崎を窓口に中国から渡ってきた楽器で、柔らかな音色が特徴。入園者たちは、なじみのあるメロディーに合わせて歌声を響かせたり手拍子を打ったりして楽しんだ。広島で原爆に遭った後、古里の長崎でも入市被爆した入園者の下広鳴美さん(81)は「何度も怖い目をみたが、『長崎の鐘』を聴いて、懐かしかった」と話していた。

 演奏を終えた智多さんは「広島の被爆者の元気な顔を見られ、来てよかった。被爆体験を継承し、平和の大切さを発信することは被爆都市の責任。音楽の面でも長崎と広島で携え合っていきたい」と意欲を示した。

 同会は2003年結成。長崎市の被爆者養護ホームや地元イベントなどで演奏を続けている。母親が長崎で被爆した広島市安佐北区のビオラ奏者沖西慶子さん(49)たちとの交流が縁となり、広島での演奏会を初開催した。

(2014年12月1日朝刊掲載)

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