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大型保冷庫を来秋導入 放影研 被爆者の血液や尿管理

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は、被爆者が提供した血液や尿などの試料を一元管理する大型保冷庫を来秋、導入する。1日、被爆者や医療関係者たちでつくる広島地元連絡協議会の会合で説明した。

 大型保冷庫は高さ3メートル、幅12メートル、奥行き3・6メートル。既存の試料約67万本と、今後20年間に集める120万本を零下80度で保管できる。試料を使う際は、庫内のロボットが棚から自動で取り出す。事業費は約2億9千万円。現在は小型冷凍庫約80台で保管するが、扉の開閉時に庫内の温度が上がって試料が劣化したり、増設する場所がなかったりする課題があった。

 また、被爆2世を対象とした2巡目の健診(2010~14年)で、1巡目(02~06年)の受診者の82%に当たる約1万人が受診予定だと報告。今後も4年ごとに健診する方針を示した。

 一方、米国アレルギー感染症研究所(NIAID)の助成による免疫機能に関する日米共同研究が終盤に入ったと説明。被爆者団体などが「被爆者の血液などの試料が、軍事目的の研究に転用されないか」と懸念していた点について、大久保利晃理事長は「大半を放影研で分析し、米国に持ち出した一部の培養液などは適切に管理されていた」と述べた。(馬場洋太)

(2014年12月2日朝刊掲載)

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