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被爆3ヵ月後 元米兵が撮影 息子が県などに写真寄贈

■記者 衣川圭

 被爆3カ月後の広島市中心部を撮影した元米兵の息子が、写真を県や県医師会などに寄贈している。撮影者はカリフォルニア州在住のトーマス・バーネスさん(86)。息子の医師ジョージさん(43)が放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)の研修で来日することを知り、写真の存在を明らかにしたという。

 写真はモノクロの5枚。福屋百貨店や本川小などの様子も見える。焼け野原となった市街地を記録し、裏側には撮影状況を簡単に記している。

 米海軍の貨物船航海士だったトーマスさんは1945年11月10日、寄港地の長崎県佐世保市から車で広島市を訪ねて写真を撮った。今回ジョージさんの研修を知って箱に収めていた写真を取り出し、当時の様子を初めて息子に語ったという。

 ジョージさんは、県医師会が在北米被爆者健康診断で訪れる病院の救急医。核テロに備え被曝者医療を学ぶため、今月上旬に初めて広島市を訪れた。

 県医師会では碓井静照会長たちに写真を紹介。「劇的な復興を見て、人々が前向きに生きてきたことに感動した」と話した。製本したアルバムを受け取った碓井会長は「二度と核兵器が使われないよう、この写真を生かしたい」と感謝していた。

(2011年2月20日朝刊掲載)

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