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師走決戦 ’14衆院選 原発再稼働 論戦の兆し 島根1区

 衆院選(14日投開票)島根1区で、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の稼働をめぐる論戦がかみ合い始めた。福島第1原発事故後、2度の国政選挙では共産党の「即時ゼロ」だけが目立ったが、今回は政権与党の自民党が稼働の必要性を強調し始めた。有権者からは議論の深まりを期待する声が上がる。(樋口浩二、秋吉正哉、川井直哉)

 候補者の稼働への賛否は2日の第一声から鮮明になった。共産党新人の上代善雄氏(60)は「原発なしでもやれる。再稼働ノーの審判を」と主張。自民党前職の細田博之氏(70)は「原子力規制委員会が安全とすれば速やかに稼働させる」とした。

 両氏は第一声後、原発がある鹿島町へ。「事故が起きれば避難できない」(上代氏)。「原発停止で年4兆円が海外に流出している」(細田氏)。ともに賛否の理由説明に時間を割いた。

 細田氏が主張を強める背景には、再稼働を進める政府方針が実行され始めたことがある。選対本部長の細田重雄県議(76)は「あと4年政権を担えれば島根原発は動く。今回は島根原発の稼働を争点にする」と言い切る。

 上代氏の陣営は、福島の事故後2度の国政選挙より稼働反対を強める。選対副本部長の尾村利成県議(52)は「福島の事故原因すら究明されていない。実効性ある避難計画がない中での再稼働は許されない」と強調する。

 一方、民主党新人の和田章一郎氏(67)は第一声で原発稼働に言及せず、街頭でも触れていない。「今は原発が動く動かないより、生活を向上させることが優先だ」。総合選対事務局長の岩田浩岳県議(39)は説明する。

 だが和田氏は県議時代の3月、県議会が否決した脱原発条例に賛成するなど本来、稼働に反対の立場。支持母体の連合島根には中電系労組も加盟しており、持論を展開しづらい面があるとみられる。

 3日、雲南市の主婦(57)はこの選挙に求めた。「原発はないのが理想だが、すぐ代わりになるものもなく難しい。将来的な廃炉を視野に入れたエネルギー政策を示してほしい」

(2014年12月4日朝刊掲載)

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