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大道あやさん死去 被爆画家 動植物画や絵本 101歳

■記者 道面雅量

 「原爆の図」を描いた画家丸木位里(1901~95年)の妹で、素朴な動植物画や絵本で知られた日本画家の大道あや(だいどう・あや、本名アヤコ)さんが、昨年9月に広島市中区の自宅で101歳で亡くなっていたことが21日、分かった。広島市安佐北区出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。

 1945年、西区三滝町の自宅で被爆した。市内で美容師として働き、花火工場に勤める夫の事故死を機に1969年、60歳で兄位里の暮らす埼玉県に移住。このころから絵筆を握り、女流画家協会展や院展で入選を重ねた。

 1975年から絵本も手掛け、「こえどまつり」(1976年)はブラチスラバ(スロバキア)世界絵本原画展で優良賞を受賞した。自らの被爆体験を描いた絵本「ヒロシマに原爆がおとされたとき」(2002年)もある。

 2003年に広島市へ帰郷。2008~09年、生誕100年記念展が呉市立美術館などを巡回した。昨年9月14日、心不全で死去した。母のスマさんも画家として知られた。

 最期をみとった孫の眞由美さん(56)=広島市中区=は「祖母は『原爆の図』を好きになれない、と言っていた。兄とは違う楽しい絵で、平和のありがたさを訴えたかったのでは」と語る。

 呉市立美術館の石山公子学芸員は「自身の強い生命力そのままに、生きる喜びに満ちた画風だった」としのぶ。

 原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)が9月6日~10月15日に追悼展を予定している。

(2011年2月22日朝刊掲載)

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