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尾糠政美さん死去 広島原爆の惨状を撮影 89歳

 広島原爆の惨状を自らも被爆した翌日から撮った陸軍船舶司令部写真班員、尾糠政美(おぬか・まさみ)さんが18日、肺炎のため島根県邑南町の病院で死去した。89歳。邑南町出身。自宅は島根県川本町川本542の2。告別式は21日済ませた。喪主は長男の英紀(ひでのり)氏。

 1945年月8月6日、広島市南区宇品海岸にあった司令部で被爆。重傷者らが収容された似島の検疫所で翌7日に撮影を始め、各臨時救護所でも市民の惨状を収めた。捜した母マキノさん=当時(62)=は見つけられなかった。

 一連の写真は、アサヒグラフ1952年8月6日特集号が「原爆被害の初公開」として撮影者を明記していないが掲載。それを機に数々の写真集でも紹介された。被爆後は川本町で「尾糠写真館」を開き、地元の子どもらに体験を証言した。広島原爆をカメラマンとして撮った最後の健在者だった。

(2011年2月22日朝刊掲載)

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