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「核は絶対悪」訴え ウィーン会議 被爆体験など証言

 オーストリア・ウィーンで開かれている第3回「核兵器の非人道性に関する国際会議」は9日、最終日の議題に入った。一般討論で、日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長(82)が日本政府代表として演説。「原子雲の写真を見る時、その下で何万人もの人々が殺されたことを想像して」と訴えた。(ウィーン発 田中美千子)

 田中さんは長崎市で爆心地から3・2キロで被爆し、親類5人を亡くした体験を証言。「一人一人が生き続ける希望と尊厳を一瞬にして拒絶された。二度と使われない保証は核兵器が存在しないことだ」と、核兵器の非合法化に向けた交渉開始を求めた。

 広島平和文化センターの小溝泰義理事長も、平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の代表として演説。「広島、長崎を訪れると、被爆者がなぜ核兵器を絶対悪と呼ぶか分かる。世界の為政者はこの非人道兵器に頼らない安全保障政策を築くべきだ」と訴えた。

 メキシコ、ケニアなどの各国政府も相次ぎ、核兵器の非合法化を訴えたが、米国は「現実的な核軍縮」の有効性を主張した。

 初めて議題にした核兵器と既存の国際規範の関係についての討議では、国際法の専門家たちが「他の大量破壊兵器と同様、明確に禁じる法的枠組みが必要だ」と相次ぎ指摘した。

(2014年12月10日朝刊掲載)

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