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核廃絶 道筋示さず ウィーン会議閉幕 非合法化と段階的 軍縮両論併記し総括

 オーストリアの首都ウィーンで開かれた同政府主催の第3回「核兵器の非人道性に関する国際会議」は9日夜(日本時間10日)、2日間の討議内容をまとめた議長の総括文書を発表し、閉幕した。核兵器の全廃を強く求めつつ、非核兵器保有国が求める核兵器の非合法化と、保有国が有効性を訴える段階的な核軍縮を両論併記した。廃絶の具体的な道筋は示さなかった。 (ウィーン発 田中美千子)

 オーストリアのクルツ欧州・国際関係相(外相)による議長総括は、国際的な紛争や緊張の高まりから「核兵器が使われ得る状況が多い」と警告。「核抑止力(の保持)は必然的に核戦争の準備を伴う以上、使用の危険性は現実的だ」と言明した。

 その上で、参加国の大半が、核兵器禁止条約など法的枠組みによる核兵器廃絶を支持したと強調。一方、保有5大国で初めて参加した米英両国の発言を踏まえ、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効などを例示して「段階的な手法が核軍縮に最も効果がある現実的な道だとかなりの国が主張した」とも触れた。

 また来年の広島、長崎の被爆70年に触れ、核軍縮の進展を求める声は「明白かつ強力だ」と指摘。4、5月に米ニューヨークの国連本部である核拡散防止条約(NPT)再検討会議に関しては、加盟国のほとんどが「核兵器なき世界」の達成へ「新たなステップを決定するよう期待している」と表明した。

 国際会議には過去最多の158カ国が参加。2日目の一般討論では約100カ国・機関の代表が演説した。南アフリカの政府代表が次回会議の開催に前向きな姿勢を表明。NPT再検討会議後に、開催国や日程が正式に決まる見通しだ。

(2014年12月11日朝刊掲載)

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