×

ニュース

旧ソ連抑留で死別の夫 遺骨 65年ぶり妻へ DNAで判明

■記者 石川昌義

 旧ソ連で抑留中、1947年に病死した益田市出身の西本三郎さん=当時(31)=の遺骨が4日、同市常盤町で暮らす妻初子さん(90)に返還された。国が2004年に現地で収集した遺骨をDNA鑑定し、身元を特定。妻への遺骨返還は、DNA鑑定が始まった2003年度以来、県内初となる。

 旧満州(中国東北部)で公務員だった西本さんは45年5月、陸軍に入隊。終戦後、旧ソ連に抑留された。肺結核を患い、旧ソ連沿海州ナホトカ市の病院で1947年12月26日に亡くなり、遺族には56年5月に死亡が伝わった。

 益田市の益田合同庁舎であった伝達式には遺族12人が出席。県高齢者福祉課の小仲浩二課長が、初子さんの孫、岡本泰久さん(41)=益田市=に遺骨を納めた箱を手渡した。

 旧満州から引き揚げ、益田商工会議所で働きながら娘を育てた初子さん。56年に届いた白木の箱には、髪と爪が入っていたという。遺骨を受け取った初子さんは「満州で別れてから65年、忘れることはなかった。今まで待ったかいがあった」と、夫の遺影を手に目を潤ませた。

 遺骨は国が派遣した収集団が2004年7月9日、ナホトカ市で収集した。県によると、終戦後に旧ソ連で亡くなった県内を本籍地とする軍人は823人。DNA鑑定で身元が判明し、遺族に遺骨を引き渡したのは、西本さんで14件目となる。

(2011年3月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ