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残留孤児72歳 通信制の西高卒業 

■記者 田中美千子

 中国残留孤児の川添瑞江さん(72)=広島市南区=が6日、通信制の西高(中区)を卒業した。戦後の混乱期の中、中国では小学校までしか通えなかった。「学びたい」との強い思いを胸に4年で全課程を修了し、ついに迎えた晴れの日。家族や友人たちと喜びを分かち合った。

 この日は二葉中(東区)の夜間学級時代の恩師から贈られた淡いピンクの着物をまとった。卒業生では最年長。式典ではクラス代表を務め、15人分の卒業証書を堂々と受け取った。次女国華さん(42)と孫娘の雅楠(まさな)さん(12)が見守った。

 川添さんは1938年、中国・吉林省で生まれた。7歳で終戦を迎えた直後、両親を相次ぎ亡くし、中国人の養父に引き取られた。農業を手伝うため、中学進学を諦めた。

 1992年、54歳で帰国。11年前に両親の古里の佐賀県から国華さんたちが暮らす広島に越し、二葉中の夜間学級を知った。「すごいチャンスと思った」。2007年に卒業。向学心はさらに高まり、西高へ進んだ。

 授業についていくのに苦労することもあったが、寝る間を惜しみ予習と復習を重ねた。「生きている限り人は学ぶべきだと思う。これからも頑張る」と川添さん。卒業証書を手に晴れやかに笑った。

(2011年3月7日朝刊掲載)

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