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原発再稼働加速の見方 衆院選 自民圧勝の島根 財界は歓迎

 14日に投開票された衆院選で自民党が圧勝し、安倍長期政権が視野に入ったことを受け、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の地元には15日、2号機の再稼働が加速するとの見方が強まった。財界は歓迎する一方、脱原発の結束を強める声も聞かれた。

 「2号機は来年が正念場だ。自民圧勝は間違いなく再稼働への追い風になる」。市民団体平和フォーラムしまね(同市)の杉谷肇代表(73)は不安を語った。

 2号機は再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査を受けており、来年にも結果が示される。「福島第1原発事故の原因さえ分からず、『核のごみ』の処分方法も決まらない中で稼働は許せない。今まで以上に反対の声を上げる」という。

 原発が立地する島根1区で当選した細田博之氏(70)は、選挙戦で再稼働の必要性を強調。「日本と島根の経済成長のため」とし、3号機の稼働も訴えた。支持したまつえ北商工会(同市)の青山正夫筆頭理事(67)は「心強い。地元の雇用のために早く動かしてほしい」と歓迎。だが選挙中、演説の聴衆には「経済は大事。でも事故の心配は消えない」=同市の無職川谷栄子さん(73)=と複雑な心境を明かす住民もいた。

 一方、島根原発・エネルギー問題県民連絡会の北川泉共同代表(83)は「(細田氏は)原発推進だけで信任されたわけではない」と指摘する。脱原発条例の制定に向け、2月までの2カ月間で島根県内有権者の14・3%に当たる8万3323人分の有効署名を集めた。「事故の避難計画は不備が多すぎる。党派や主義主張を超え、結束力を高めて県民の安全を守りたい」と話した。(樋口浩二)

(2014年12月16日朝刊掲載)

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