×

ニュース

衆院選山口2区 出口調査

 中国新聞防長本社は、米海兵隊岩国基地(岩国市)への米空母艦載機移転や上関町への原発建設計画などの課題を抱える衆院選山口2区で14日、投票を終えた有権者に出口調査を実施した。300人から回答を得た。与党が安倍政権の経済政策アベノミクスの継続の是非を単一争点に設定する中で政策論争は低調となり、民意と投票行動がかみ合わない状況が浮かび上がった。(野田華奈子)

米空母艦載機移転

賛成の9割 岸氏選ぶ

 在日米軍再編に伴い、岩国基地には2017年ごろまでに、米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移転が予定されている。

 艦載機移転の賛否を尋ねたところ、「どちらとも言えない」が51・0%と最多。「賛成」24・7%と「反対」24・3%は拮抗(きっこう)した。2区のうち岩国基地のある岩国市だけをみると、「賛成」29・6%が「反対」21・6%を8・0ポイント上回った。

 沖縄の負担軽減と安全保障上の抑止力整備のために米軍再編を進める考えの岸氏には、「賛成」と答えた人の9割、「どちらとも言えない」とした人の7割弱が投票した。「反対」の人の半数は「幅広い声を国政に届ける」と訴えた平岡氏に投じた。

 だが民主党も米軍再編は進めるとのスタンス。赤松氏は艦載機移転反対を明確に打ち出したが、「反対」とした人の8・2%が投票したにとどまった。

 岸氏に投票した人でみると、「賛成」は33・8%、「反対」は14・6%、「どちらとも言えない」は51・5%だった。

 比例代表の投票先をみると、「賛成」の人の73・0%が自民党。「反対」とした人は民主党の39・7%が最多で、自民党(26・0%)共産党(12・3%)と続いた。「どちらとも言えない」は自民党(52・3%)民主党(17・6%)維新の党(13・1%)の順だった。

上関原発計画

「反対」も平岡氏より岸氏

 中国電力による上関町への原発建設計画について、進めるべきだと思うかとの問いに対しては、「思わない」が52・7%と過半数を占めた。「どちらとも言えない」は33・3%、「思う」は14・0%だった。

 「思わない」と答えた人のうち、約4割が原発の新増設に反対の姿勢を示した平岡氏に投票した。だが5割強は、原発活用の方針を掲げる自民党の岸氏を選んだ。「思う」とした人のほぼ全員と、「どちらとも言えない」とした人の7割強も岸氏に投じた。エネルギー政策に関する論戦が盛り上がらず、選択に悩んだとみられる。

 岸氏に投票した人でみると、「思う」20・7%に対し、「思わない」が最多の41・9%だった。「どちらとも言えない」は37・4%。比例代表の投票先では、「思う」の人の9割以上が自民党に投票していた。一方、「思わない」の人の4割と「どちらとも言えない」の5割以上も自民党に投票していた。

<出口調査の方法>
 山口2区で地域バランスを考慮して12カ所の投票所を抽出。14日に投票を終えた有権者計300人から回答を得た。用紙を示し、①小選挙区で投票した候補者②比例代表中国ブロックで投票した政党③支持政党④投票にあたり、アベノミクスの継続の是非が決め手になったかどうか⑤米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転の是非⑥上関町への原発建設計画の是非⑦前回2012年の比例代表中国ブロックで投票した政党―を選んでもらった。男女別は男性159人、女性141人。※グラフは小数点第2位を四捨五入したため、合計が100%にならない場合がある

(2014年12月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ