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「ノグチの橋」 修復難航 広島・西平和大橋

■記者 鴻池尚

 彫刻家イサム・ノグチがデザインした、西平和大橋(広島市中区)の欄干の一部が、1月にあった乗用車の単独事故で壊れたままになっている。橋は1952年完成で平和都市建設の象徴の一つ。管理する広島市によると、歴史的な趣を損なわず修復できる業者探しが難航中という。

 同市中区役所管理課などによると、歩道の欄干は鉄骨入りコンクリート製で直径約15センチの2本が上下に並ぶ。壊れたのは上流側中央の上側(路面高80センチ)で、鉄骨がゆがんでずれ、コンクリート表面が剥がれ落ちている。

 事故は1月29日に発生し、同課は2日後に乗用車の運転手から連絡を受け現地を確認。歩行者への危険性は低いと判断し、応急処置として覆いをした。

 原状回復の責任がある事故当事者は、同課の指導を受けて施工業者を探している。ところが、経年劣化した状態を保ちつつ修理するには特殊な技術が必要で、いまだに業者が決まっていないという。

 西平和大橋は、東側の平和大橋とともに市が、平和大通り建設時に架けた。被爆地復興の歴史を刻む橋で、同課は「工法検討にも時間はかかるが、なるべく早く復旧したい」としている。

平和大橋と西平和大橋
 平和記念公園(広島市中区)を挟んで東側の元安川に平和大橋(全長約86メートル)、西側の本川に西平和大橋(同約102メートル)が架かる。いずれも欄干を彫刻家イサム・ノグチがデザイン。市が平和大通り建設に伴い1952年に完成させた。

(2011年3月9日朝刊掲載)

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