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瀬戸内海で潮流発電 中電・広島工大がシステム開発へ

 中国電力と広島工業大(広島市佐伯区)は25日、海水の流れからエネルギーを得る潮流発電システムの開発を始めると発表した。瀬戸内海の橋脚や護岸を活用して建設や維持に掛かる費用を引き下げ、実用化を目指す。

 本年度から2017年度にかけて、中電が新システムを開発し、広島工業大が実現可能性を調べる。地形が複雑な瀬戸内海は海水の流れが速いため潮流発電に向くとされており、新たな再生可能エネルギーとして期待が高まりそうだ。

 新システムは、送電網が近くにある橋や港湾の設備を使う。潮流発電のコストは1キロワット時当たり60円前後とされてきたが、太陽光や風力並みの20円以下を目指す。従来の潮流発電は海底に設備を置くため、陸まで電気を引く巨額の費用が課題だった。

 中電などは小型の模型をつくり、水槽で出力などの試験を進める。橋脚付近は潮流の向きが激しく変わるため、水車の向きを工夫する。さらに水車の回転を受ける発電機を海水から遮断して耐久性を高める。開発には、海洋土木に強い呉市発祥の五洋建設(東京)なども加わる。

 広島工業大は瀬戸内海で適地を探す。既に約50カ所の候補地を見つけており、現地を調査して新システムの発電量を試算する。地元の漁協や自治体との協議に向けた準備も進める。

 事業費は数億円規模で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの補助金で全額を賄う。中電は「瀬戸内海は潮流発電の潜在能力が大きい。将来の再生可能エネルギーの拡大につなげたい」としている。(山瀬隆弘)

(2014年12月26日朝刊掲載)

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