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島根1号機「年度内に廃炉判断」 中電社長が初めて時期明言

 中国電力の苅田知英社長は5日、運転開始から40年を超えた島根原子力発電所1号機(松江市鹿島町、出力46万キロワット)について、廃炉にするかどうかの判断を「年度内がタイムリミット」と明言した。現時点で存廃は「全く決めていない」としたが、結果は地元自治体に説明する方針も示した。

 広島市中区であった広島商工会議所の新年互礼会で記者団に話した。昨年10月に早期の判断を国から要請されており、中電が判断時期を明言したのは初めて。

 原子炉等規制法では、原発の運転期間を原則40年とする一方、原子力規制委員会の認可を受ければ最大20年延長できる。1号機の再稼働には原子炉圧力容器の劣化を超音波などで調べる特別点検の結果を7月までに規制委へ提出する必要がある。苅田社長はこの点検を「3、4カ月かかる」と説明。判断が新年度にずれ込むと、特別点検に間に合わないとの見方を示した。

 現時点では存廃について「両面で検討」しており、巨額の投資が必要となる再稼働の採算性などの精査を続けている。地元自治体には「廃止となれば重大な話なので説明するのは当然。運転を延長する場合でも何らかの話をしないといけない」と述べた。

 松江市の松浦正敬市長は「廃炉にするなら、市としても対応しなければならない。中電からの報告を待ちたい」と話していた。

 中電の原発は2012年1月から全停止しており、2号機(82万キロワット)は再稼働に向けた規制委の適合性審査が続いている。苅田社長はこの日、社内の互礼会で審査の加速に向けて「対応体制の充実、強化を図ることが必要」と述べ、再稼働に力を注ぐ考えを示した。中電は完成間近の3号機も審査申請の準備を進めている。(山瀬隆弘、松島岳人)

島根原発1号機
 国産第1号の原発として、1974年3月29日に運転を始めた。事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉。原子炉機器の点検不備問題を受け、2010年3月に運転を停止。そのまま同年11月に定期検査に入り、5年近く止まっている。

(2015年1月6日朝刊掲載)

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