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毒ガス年表 歴史たどる 竹原市、大久野島に新設

■記者 白石誠

 竹原市は、忠海町の大久野島にある毒ガス資料館に、毒ガスを中心にした国内外の歴史をたどる年表を新設した。患者の治療に尽くした故行武正刀氏の功績を紹介するパネルも設けた。展示替えは5年ぶり。

 年表は縦25センチ、横480センチのパネルに記し、計3枚を設けた。1894年の日清戦争に始まり、大久野島で1929年に開設された毒ガス製造工場の歴史を中心に紹介。第1次世界大戦でのドイツなどの毒ガス使用や、旧日本軍が中国に遺棄した毒ガスによる2003年の死傷事故まで、国内外の歴史が一目で分かるようにした。

 これまでも部分的に年表は展示していたが「戦前からの流れが分かる展示にしてほしい」との入館者の声を受け、内容を充実させた。  また、半世紀近く毒ガス患者の治療に従事した元呉共済病院忠海分院長の行武氏の功績を紹介するパネルも新設した。防毒マスクや写真パネルなど約340点の展示品は替えていない。

 今回の展示替えは、市が行武氏の遺族から寄付を受けた100万円を活用した。市まちづくり推進課は「国内外の歴史と大久野島の関係が分かりやすいようにした」としている。

 資料館は88年に開館した。2009年度の来館者は3万550人で、前年度に比べ約2200人増えた。

(2011年3月22日朝刊掲載)

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