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被爆者の衣服や装身具など 石内都写真展が開幕

■記者 田原直樹

 被爆者の衣服や装身具を撮った写真家石内都さんの作品展「ひろしま Strings of Time」が6月28日、広島市南区の市現代美術館で始まった。同館と中国新聞社主催。8月10日まで。

 写真39点と映像作品を展示。愛らしい花や水玉の模様、鮮明な色、生地の柔らかさ…。ワンピースやブラウス、靴下をとらえた写真は、着用していた人の姿や時間を想起させる。戦時にもおしゃれに気を配る女心や日常の営みがあった。生地の破れや焦げ跡は、それが一瞬にして奪われた悲劇を物語る。

 石内さんは身体の傷などを写した作品で知られ、ベネチア・ビエンナーレなど国際舞台でも活躍する。今回は被爆者の遺品類をモチーフに選び、撮影。これまでにないヒロシマの表現となっている。

 来館者は衣類に浮かぶ生命の輝きと原爆の悲しみをじっと見つめていた。

(2008年6月29日朝刊掲載)

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