×

ニュース

米首都で原爆展計画 広島・長崎市が今夏 20年ぶり

 広島市は今夏、長崎市と共催し、米国の首都ワシントンで「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開く方針を固めた。犠牲者の遺品など実物資料を展示し、被爆者を派遣する。核超大国の政治行政の中心地での開催は1995年以来、20年ぶり。被爆70年の節目に、あの日の実態をあらためて伝え、核兵器廃絶の世論を高める狙いがある。

 6月ごろ、95年の会場と同じアメリカン大で開く方向で検討。さらに米国内の他都市でも開催できないか調整を進めている。

 ワシントンでは、国立スミソニアン航空宇宙博物館が95年に原爆展の開催を計画したが、米国の退役軍人たちの反発で中止になった。これを受けて同年、広島、長崎両市による原爆展がアメリカン大で開かれた経緯がある。

 その後も両市は米国内でヒロシマ・ナガサキ原爆展を順次実施した。別に、2007年9月から広島市が民間団体などと協力して「全米原爆展」を展開。約3年で、ワシントンを含め50州129都市を巡った。原爆投下を正当化する意見は市民になお根強く、両被爆地を冠した原爆展を通じて非人道性を訴え、「核兵器なき世界」への思いを広めたい考えだ。

 一方、両市はスペインで初のヒロシマ・ナガサキ原爆展を今月13日から2月8日までバルセロナで、同11日から3月8日までグラノラーズで計画している。原爆資料館(中区)の志賀賢治館長と被爆者の梶本淑子さん(83)=西区=を派遣。焼け焦げた学生服などの実物資料や写真パネルなどを展示する。同原爆展の開催は16カ国45都市となる。(田中美千子)

(2015年1月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ