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旧広島陸軍被服支廠・広島大旧理学部 折り鶴ミュージアム候補地に

■記者 金崎由美

 広島市の「折り鶴ミュージアム(仮称)」の検討委員会(委員長・黒瀬真一郎広島女学院理事長)は22日、市役所で最終会合を開いた。事務局の市は、原爆の子の像に届く折り鶴を長期保存・展示するミュージアムの候補地に、旧広島陸軍被服支廠(ししょう)(南区)と広島大旧理学部1号館(中区)を提示。検討委は秋葉忠利市長に提出する報告書に2カ所を明記することを決めた。

 委員6人が出席した最終会合では、市が3~10年分を保存・展示する候補に両施設を挙げた。「10年分の保存・展示に必要な4千平方メートルの敷地があり、被爆建物のメッセージ性を有する」とした。

 委員からは「被爆建物を芸術的資源として使わない手はない」と賛同する声や、「平和記念公園からのアクセスが重要」「被爆の実態を伝える発信拠点としての機能が大切だ」などの注文が出た。

 折り鶴の保存・展示をめぐっては、秋葉忠利市長が昨年9月の初会合で、「20~30年分の折り鶴を1カ所で見られる施設を」と要望した。一方で市には毎年10トン前後の折り鶴が国内外から届く。市は2002年度分から保存し、その数は9560万羽、重さは81トンに上っている。30年分の折り鶴を収容する場合、市の試算では施設面積2万平方メートルの県立美術館並みの広さが必要となる。

 2月の前回会合では委員から30年分の収容施設をすぐに造ることに疑問の声が上がり、既存施設を活用して段階的に整備する方針を確認。それを受けて市が、旧広島陸軍被服支廠と広島大旧理学部1号館を候補に挙げた。

 検討委は近く秋葉市長に報告書を出す。ただ、秋葉市長は4月7日の任期満了で退任するため、最終判断は新市長に委ねられる。

(2011年3月23日朝刊掲載)

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